足場も外れて「そろそろ?」と言われるようになりました。
ザ・たたみハウスの完成もいよいよ残すところ一ヶ月ぐらいらしいです。
足場が外れてからも、照明や便座の設置、外回りは下水道、上水道、雨水の配管、エコキュートの設置、そして左官屋さんは犬走りや玄関、土間の塗り作業などなど、日々忙しく現場は動いております。
施主はただ見守るだけ。
日中は自分も働いているので、差し入れもままならぬ畳ハウスの住民ですので、その「見守り」すらできないのが現状ですが・・・。
家造りは、もちろん、自分たちでは到底できっこない技術的な領域での買い物ではありますが、加えて、自分たちではとても生み出せない時間を買うことでもあるのだなぁ・・・とつくづく思うこの頃です。
(このザ・たたみハウスのウェブサイトでは、幾度となく話題にしている)ストローベイルハウスをいつも引き合いにするのですが、家造りという一般的にはとても専門的なことがらも、自分でできることが意外にあるのだと知ったのがストローベイルハウスの家造りでした。いわゆるセルフビルドという視点。
工務店さんにお任せの畳ハウスに転向した現状、「自分の家造りは可能な限り自分で」なんて気持ちは限りなくゼロに近いものの、今でも「セルフビルドは家造りの理想だなぁ」という考え自体は持ち続けています。
持っているだけですが・・・。
(ここから先は、ベイルハウスを建ててもいない畳ハウスの住人が言っていることを前提にお読みいただきたいのですが、)ベイルハウスでは建築物の壁といういわば専門性の高い領域を、身近な藁や葦を原料に作られるストローベイルを構造主体にして、また足元にある赤土を塗るという方法で、建築の素人にも分かりやすく家造りというものを紐解いていると言えます。
「なるほど、壁というのはこのように造れば良いのか」という具合に。
最初の造作ができれば、メンテナンスも自己解決です。
「家は建てるのがゴールじゃなくて、建ててからがスタートだ!」なんて、「結婚」みたいなことを言う人がいますが、まさに、経年と共に劣化する家のメンテナンスもひと課題。
ですから、長持ちする家などが市場に重宝されるのでしょうか。
セルフビルドはそんな家にまつわるメンテナンスの課題を違う角度から解消する一つの方法のような気がします。
実際はそんな単純ではなくて、ストローベイルハウスならではの課題があるようですが、少なくともベイルハウスは素人でも構造を理解しやすく、少し思い切れば「家はセルフビルドできる!」ということを教えてくれます。
私などには、家というとてつもなく専門性の高そうな世界がぐっと身近に感じられました。
(ただ、ログハウスや木造の家造りなんかもセルフビルドされる方がいらっしゃいますので、ストローベイルに限らずの話かも知れませんが・・・。)
しかし、こうやってザ・たたみハウスの完成を間近にして、この半年以上を振り返ってみますと、「自分では到底無理」と思わざるを得ません。
「無理」と感じる最大の理由。
それは、時間です。
もちろん、「仕事を辞めて」という選択肢もないことないのですが、自分の置かれた立場を考えると、とても家造りのために仕事を辞められる身分ではありません。
そうなんです。
本当の意味で、ライフスタイル、いや人生設計を見直すぐらい、自分で家造りをするというのは難しいことなんですね。
(・・・と、書きつつも、隣町には教員をされながら自分の家を建ててしまった方々がいらっしゃるので、ようは自分の課題かも、知れませんけどね。)
そんなわけで、畳ハウスの住人は自分では生み出せない時間を工務店さんから買って、ただいま、家造りの真っ最中です。「見守る」余裕もない家造りですが、家はどんどん出来上がってゆきます。
それでも幸福な感じがするのはなぜでしょうね。